Archive for 10 March 2009

10 March

fairy tale 3



 


 ・・・あなたは、どんな時に創作しますか?
 という質問に、"彼"は以前、こう応えたことがあったらしい。
 ・・・不機嫌な午後に・・・

 きっと、ゴーシュ(左利き)の彼は、右手にシガーを持ちながら、クールに応えただろう。


 私は煙草を吸う男が好きである。更に言うなら、それでお酒が好きな男が好きである。
 喫煙は昨今奨励されていないが、親族が集まれば、煙草の煙とお酒の匂いというのが、私の長年の<親密>の象徴のごとくであったおかげで、私の恋人は、煙草とお酒を好む漢であるという条件は、もしや、少女の頃からの希望であったかもしれない。ちなみに、私の家系はかつて専売公社と郵政省にご縁があったりもしたものである。


 それはともかく、さしあたり、私にとって価値のある時間帯というのは、闇がはびこる深夜というのが、若い頃からの習慣・・・いや、20代の一時期だけは、僧侶のごとく、午前4時過ぎに目覚めて独り・・・という時期もあったが。
 人それぞれであるが、我が敬愛する故/武満徹氏は、午前中だったという。
 私も、もう少し年をとると、午前中が<欲しく>なるのだろうか・・・そんなことは、解らないし、今、考えても無駄なことである。


   *


 曇り空、洗濯無し、だから、車を走らせた。
 走りながら、男が造った音楽を聴き、その歯ごたえを改めて感じてやる。
 ・・・入り口が、非常にスローである・・・現(うつつ)をぬかしているのではないかと感じてやりたいほど、遅いテンポなのである。笑いながら、耳にしていた。
 ・・・私も馬鹿者だけど、あなたも、やっぱり、馬鹿者ね・・・微笑・・・こういう我が儘を無意識に遣るあなた、よろしい。
 ・・・それでも、気づけば流れは変化しているのね・・・よく、構成したわ。あたかもドラマを装ったように視えるけれど、違う。
 ・・・これは人間の臨機応変が醸す『道草』だわ・・・これは電脳には、出来ない事よ・・・wonderful!・・・あなたは、いいえ、あなた方は、どうやら、漱石の理想とした或る一面のような、「非人情」に似た姿勢を今回提供したのかもしれないわ・・・そうよ、漱石はふらっと旅に出て、素描しようとした。
 勘違いの無いように言うわね、「非人情」とは、「人情に欠ける」ことではない。
 これは人間至上主義の向こうを張る価値観よ・・・つまり、「この世にある全ての生きるものは平等である」という思考に乗っとって出来上がる価値観だわ。

 そうしてあなたがそのように謙虚であるなら・・・さあ、今宵もステキに奏でられたことでしょう。

 私たちって、こんなに身近にいながらも、昔から別々の方向を観ていること、しょっちゅう、あるわね・・・ひとりが慌ただしい時、もうひとりも慌ただしくて・・・ところが、それでいて・・・そうね、緊張感があって、いい・・・私は弛んだ<関係>に我慢ができない質だから。
 そして、視ようとしている景色はとても、とてもよく似ているわ・・・そうして、あなたも私も、平和で平等を愛する人間・・・そうよね、いつも話している事・・・地球規模、ううん・・・宇宙規模で考えたら、私たちの生きている時間がどれほど短く小さいか・・・そこで鬩ぎ合うなんて、厄介中の厄介と感じている我らなのですものね・・・どんな命も魂も、美しい、貴い・・・その中のあなたと私は、手を繋ぐ必要があって出会ったのでしょう・・・ひとりでは駄目な者たちだからこそ、共に暮らすよう、神様がご縁をくださった・・・LOVE・・・だから私は朗らかにあなたの無頓着を受け入れてあげることが出来るらしい。
 上手く遣りなさい、魅せなさい・・・人生はまだまだ、長いわ、くたばっている暇なんて、無いのですよ。


   *


 人それぞれであるが、さして機嫌もよくない3月9日午後2時過ぎ、ハンバーガーをガツガツ食べながら、私は私の遣ろうとしている作業のこと、あれこれ考えはじめる。
 瞑想とは、居ながらにしての静と動の感覚こそ美味しいし、またそれとは別に、何の当て込みもなく想像するならオフィーリアの姿勢が好ましい私である。
 が、そこに主題を持たなければならないケースだと、自分が動きながらか、或いは、浴槽に浸かっている時がよいらしい。
 ハンバーガーの後は、掃除機の騒音とともに、思考する・・・試行する・・・嗜好する・・・日本語は、都合がよくできている。
 さて、"グレートヒェン"か、"ベアトリーチェ"か、嵐が丘"キャサリン"か?
 それとも、愛-苦しく『くるみ割り人形』を浮かべるか? 
 何でも、いい、私はただの女だ。
 どのようにイメージするかは、日付けが変わり、あわよくば太陽が顔を出した後にでも、改めて、醒めた目でとりかかってみよう、今夜は、駄目だ。



 踊れる全ての野郎ども、それから、世界中の恋人たちの、グラン・パ・ド・ドゥ(Grand Pas de Deux)を、祈って。

 そう、『くるみ割り人形』の世界は、人々が寝静まる深夜の出来事・・・明日は早起きなので、早々に眠ろうと努力したが、習慣とは、恐ろしいもの。



 追記:
 上記の画像『くるみ割り人形』は、名高きマウリス・プティパのグラン・パ・ド・ドゥ(Grand Pas de Deux)の振り付けとは(少し呑んでいる私の思い過ごしでなければ)どこか微妙に異なる感もあるのだが(私が少女だった頃は、何といっても『白鳥の湖』『眠れる森の美女』、そしてこの『くるみ割り人形』という3大バレエの・・・ここでまた3大か・笑・・・振り付けというとプティパの手がけたものが有名だった)が、映像もよく愛らしい。



 LOVE & LIGHT



 ..* Risa *¨





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