Archive for 16 March 2009

16 March

吉祥寺に"YES"



 3月13日、春の嵐を予感する夕刻、スターパインズカフェへ。
 私はこの日の風を、ゼピュロスの風と称しながら、向かった。
 
 3月4日、京都に始まり、一日たりとも休まず、高知、広島、佐賀(小城)、福岡、大阪のツアーを終えた湯川潮音&ロンサムストリングスの東京凱旋を待ち、迎える東京吉祥寺の楽日。

 演奏の模様について、ただ一言・・・・・・感動した。

 ほぼ一週間に渡る旅の栄養がステージの上の演奏者の精神に満たされ、満員状態の客席にその"imagery"が立ちこめた夜だった。
 
 潮音ちゃんは若々しい。
 若きLadyに、私は惚れ惚れした。彼女はタフであり、思慮深いわ・・・私はそんな潮音ちゃんが、大好きだ。
 彼女に出会ったのは、もうかれこれ5年以上も前になるが、このような女性のソング・ライターは、今までこの国にはいなかったと言っても言い過ぎではない人のひとり・・・私にとってね。
 愛らしいだけではないの・・・彼女は磨く人、自分を信じて、ひとりでも旅に出られる準備を怠らない人・・・私はそんな印象を潮音ちゃんに感じることが出来る。
 
 私は桜井から聞いたわ・・・ベースの松永さんがツアー中に・・・「ロンサムはいいバンドになったな」とおっしゃったというお土産話を。
 そのとおりだと思った。

 以前桜井が私に言った。
「『candela』は、あなたのための曲だ」

 ・・・『candela』が彼によって作られたのは、2005年が明けた1月の終わり頃だった。
 
 私は言った。
「本当?」

 私は、愛に対する臆病者ではないが、創作する人の心の奥底にあるイメージが、ひとつであるとは、言い切れない女なのである。
 だから、その時私は、私の恋人のこの言葉を十分に信じることが出来なかった。
 しかし、恐る恐る、信じようとするのである・・・ライヴの度に・・・音源を耳にする度に・・・真実は、何? その真実が、私である必要が、あるかしら? 私でなくとも、いいのよ。

 いや、私でなくて、よい。

 結論は、必ず、このように、なる。
 何故なら、創作者の宿命とは、些細な個人的なことを、大きく結ぶ必要があるからである。
 私は、『candela』を聴く度に、この<個人的>を背負うことが喜びであった反面、苦しくもあった。

 だが、そろそろ、漸く、この『candela』という楽曲は、私のものではなくなったらしい。
 それは、喜びである。
 作品とは、手がけた人間の手を離れれば離れるほど、ポピュラーな存在となり、世界と交わる。
 それがパブリックなものとなるためには、その作品が産まれたいきさつを踏みにじるような、無数の<足跡=そくせき>が、要されるのである。
 私は、創作というものをこのように解釈し、そして自らも、平気でこのようなことをする者なのである。
 その私は、そのような道のりを歩く作品を、愛す。

 やや、個人的になったな・・・sorry・・・

 しかしながら、潮音ちゃんとロンサム・・・本当に、お疲れさまでした。
 ですが、これも、また新たなドラマの序章なのでしょう。


 ひとつ断ると、男性は肥大させることは出来ても、変貌が苦手である。
 そこへいくと、或る種の女は、肥大はしないが、変貌が得意なのである。
 
 
 ゼピュロスの風が夜になっても止まず、打ち上げ後、午前3時の吉祥寺からの道、ハンドルを握る私は醒めていた。
 帰宅し、ビールを呑む。
 よろしく、と言わんばかりの明け方を知る。
 

 i'm closer to the Golden Dawn......


 don't believe in yourself
 don't deceive with belief
 knowledge comes with death's release


 いいライヴだったな!



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 PEACE & LOVE





04:59:46 | mom | No comments | TrackBacks