アメジスト

　2月になった。
　私は3月生まれなので、誕生石はアクアマリンなのだが、この2月の誕生石は、アメジスト。
　石の言葉は、平和、誠実、愛の真実・・・そして、浄化という魔除けの意味もあるという。

　亡き祖母が日常的に身につけていて、その後私が彼女の遺品として受け取った指輪のひとつに、アメジストの指輪があった。
　小さなライラック色の石が嵌めてあるのだが、この指輪、数年前まで、私の右手の小指に嵌めると少し緩い感じかしら・・・という具合だった。
　が、ここ数年の間で以前にも増して痩せぎすになった私の躯、その躯を持ってして、左手の薬指に収めてみると、これが、丁度良いのである。

　そこで、この石の意味にあやかる気持ちも含め、2月1日、しばらくこのアメジストを身につけて暮らそうと決める。

　祖母の指に嵌められていた頃は、確か、右手の薬指。
　白く、ほっそりした指だったことをよく憶えている。
　今から20年ほど前に他界した祖母であるが、私は今でも彼女の温もりと匂いを忘れる事ができない。
　彼女が病気になり、入院を何度かくり返し、死に至る頃の体重と、私の今の体重は、さして変わらない。
　勿論、祖母は私よりも、背が低かった。私は今、158センチはあるだろう。

　私の左手の薬指のアメジスト、水仕事をする時など、気がつくともう一つの指輪と触れ合いながら、カチッと音をさせる。
　見れば、石の位置がほんの少し中心からズレていたりする。
　
　私の左手に嵌められているのは、いつまでだろう？
　左指より、右指の方がやや太い私である。
　やがて、祖母と同じように、右手の薬指に嵌められる時が来るのかもしれない。


　今年に入って更に手を加えて来た『YES』の原稿、編集してくださる人に校正を依頼する日が来る。
　2月は28日間しかない。
　あっという間に、過ぎ行くのだろう。

　"Sir"・・・馬に乗るように、私は月に乗ります・・・many thanks・・・

　2月の私はアメジストを身につけた水夫に変身してみた。

　
　"YES" is the answer...