Archive for 03 May 2009
03 May
Oh Well/私の優しさに甘んじないでね
どうやら、散文は今のところ散策しながら手がけられそうな期待を持てるかしらね、5月2日。
チェリーは今宵は吉祥寺なので、私はこざっぱりとひとりで夕刻を過ごす。
が、何が食べたいのか解らなくなる。
そこで、掃除機をかける。欲望と無縁の行為は、人を素直にする。
それがあるために、私は規則正しく居られると子供の頃から思い込んだもので、おかげでどんなに忙しい朝を越えようとも、ベッドを整えて出かけることを怠ったことは、ない。
私はベッドのある部屋のドアを開けた時の瞬間を喜びたいただそれだけのために、娘時代から、個人を仕向けた。荒れた部屋は、いけない、清潔か否かの問題ではなく。
クロック・ド・マダムが無性に食べたくなる。
18時を過ぎた頃、ビールを飲み始めた。
窓は開けてある。高台の我が家は、風通しがよい。
カーテンを揺らす風を愛しながら、クロック・ド・マダムを齧り、齧るように歌う彼女のアルバムを流していた。
久しぶりに聴く、Fiona AppleのCDからの"Oh Well"。
彼女の力強いピアノと潔い歌は好きだ。
この曲の歌詞は、少し辛辣、ひと皮剥くと女とは、このように生きるものかもしれない。
で、私もこんなことを吐き出したくなる・・・「私の優しさに甘んじないでね」。
重ねた上の目玉焼きをズラさずいただく。
私は齧りついたりしない。
穏やかに、ナイフとフォークを使って、いただくのである。
馬鹿者でシラフを敬遠したくなる私だが、私にも、人並みの血は流れている。
それがせめてもの優しさで、優しさは礼儀とは、ちがう。
Robin・・・変貌する日々の苦さは単なる骨折りだけれど、人生には、それをスマートに遣ってのける体力が必要ね。
クロック・ド・マダムでは、足りなかった。
忌野清志郎さんが亡くなられた。
トランジスター・ラジオから流れる音楽に夢中だった10代、私は高校の図書館で午睡まじりの読書をしながら、授業をサボったこともあった。
読んでいたのは、原始キリスト教関連、そして、ボリス・ヴィアン、ケラワック、サリンジャー、ブロンテ、カミュ、サルトル・・・。
みんな、流れながら、過ぎていった。
NOTEに綴ったことも、棚の奥に眠っているわ、'70年代の青春の深夜遅く。
広げなくても、ひとつだけ模倣に過ぎてもしらじらしくはない15歳の時の詩を、思い出した。
その詩を、ママンに見せたら、彼女は私に言った・・・
「よく書けてるじゃない。でも、これはあなたが近頃夢中になっている事柄を浮き彫りにしているだけ、あなたの尊敬する作家やなにかの言葉とよく似ている」。
手厳しい女だと、感じた。
帰宅後のキッチンでの会話だったが、食欲も失せた記憶がある。
私はその女の娘なのである。
ヤバい。
が、その母は、'80年の暮、レノンが亡くなった晩、私に果てしなく優しく、深夜から朝までステレオを鳴らしている娘に一言の声もかけず、午前6時まで放っておいてくれた。
そして、午前6時に私のところへ来て、こう言った。
「朝のピアノを弾くあなたの時間が来た」
そう、私は、当時高校3年生、音楽大学受験を控え、早朝練習を決めていた。
その朝は、ベッドを整える必要もなかった、そう、私は眠らなかったのだから。
今日も過ぎ、明日も、ハプニングが無ければ、そのまま、過ぎるだろう。
Oh Well...
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start / 19:00
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当日 / \2500
場所 / MARU(東村山市野口町1-11-3 tel 042-395-4430)
..* Risa *¨
03:57:53 |
mom |
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