Archive for 05 May 2009

05 May

では、不人情ならば?



 この深夜、たった今、飛び込んできたメールは素敵なものだった。
 捨てたものではないわね、生きていることは。


 非人情ではなく、不人情で行動するとは、どんなことかと聴かれれば、こんなことを例えてみようかしら・・・

 彼/彼女は、ひとりの画家だとしましょう。彼/彼女は、街に出たりして、「これだ!」と感じた人間をモデルとして誘い、相手が応じれば、お金を払ってデッサンなどするかもしれない。ところが、一気に描いたそのモデルの姿に、やはり自分の求めていたものを感じられなくなると、断念せざるをえない。時にモデルはこんなことを彼/彼女に言うことすらある・・・「これが私なの? どこも似てないじゃない!」。
 彼/彼女はその声に失望し、そのモデルに、「私が求めたものは、あなたの容姿ではない」、ということを伝えることもせず、別れる。恐らく、言ったところで理解してもらえるとは思わないからだろう。
 だが、彼/彼女には、兼ねてから描きたいと願っていた或る人物の姿があった。
 それは、彼/彼女の愛人の大切な人間で、しかし、その彼/彼女の愛人は、その人物を大切にはしていても、愛しているかどうかは不明なのである。その人物は、特別美しい容姿ではない。が、その生き方に彼/彼女は興味を持ち、また、表現者特有の吝嗇を嫌う性格も手伝い、その愛人の大切な相手にモデルの役を請う。
 相手は喜んで立ち会ってくれると言う。彼/彼女はさて、どんな行動をするか?

 ここからが、いよいよ、不人情である。
 彼/彼女は、ひとまず、等身大の相手を出来る限り器量よしに描く。それを、相手にプレゼントする。相手は、「これが私なの?」と、喜ぶ。その様子に満足する彼/彼女なのである・・・要するに、ここでは、旺盛なサーヴィス精神が働いているわけである。吝嗇を憎む彼/彼女は、十分なご馳走のごとく、素材を料理する。
 が、実は、これだけではないのである、後が、ある。
 彼/彼女は、その相手の姿を全く別の角度から見据えた作品を、もうひとつ、作るのである。
 それは、デフォルメされた描写であり、彼/彼女が、或る理想、もしくは、ひとつの存在の抱く、困難な性質を取り上げて、しかもそれを生き生きと表しきるための成功を目指す行為。
 本当に彼/彼女が満足するのは、そのもうひとつの作品を描いた瞬間なのである。

 いや、ここで話が終わるのではないだろう。これだけでは、只の絵描きの陰謀が綴られただけである。
 不人情は、別の場所へと、移動し始める。
 不人情が更に芽を出すのは、この先なのである。それは、その後に起こる事態が必要で、そのような物語を私が読んだことをもとに書いているが、その作者のひっくり返し方は小気味よく、当初、不人情な存在として描かれていた彼/彼女は、結局は、人情の人(もしくは非人情の人)であり、その相手こそ、不人情の人物だったという、絡繰りで終わる。

 それでは、不人情とは、どのようなものか?
 それは、面だった悪意など、一見、見当たらない。どうやら完全に自己管理が出来ず、欺瞞の中に生き過ぎ、残念なことに稚拙な感情しか持てず、自分というものを普段は押し殺し、それでいて周囲を逞しく観察することにかけては長け、そこで生きるためには、愚かなフリさえしてみせる、ややじれったい存在。何を視ているのか? そこが、この物語の大事な部分である。

 デフォルメして描いた彼/彼女は、残忍な者に見えるが、実は、意識的な人間であり、いちいち冷静に物事の筋道をたてる。彼/彼女は実はおせっかいであり、そのおせっかいが、事件を混乱させ、その円(園)の外から登場した人物を悩ませる。
 彼/彼女にモデルとされた人物こそ、無邪気を装った見事な悪魔だった、という、オチで、とある物語の終止符が打たれる。人間の卑しさとは、どこにあるのか。


 oh helluva thing, but not a jibber...


 というわけで、非人情とは、なかなかよろしい世界なのである。
 道行き、なのですもの。


 5月4日。
 それでは、今宵は「4」の与える力について・・・

「4」とは、季節や方角に特有な数であり、これは、人のルーツを象徴しているとも言われているらしい。
 賢く、しっかりと中心に立つこと・・・これによって、四方に広がる持続力と耐久力をもたらす数字。


 やっぱり可笑しなこと、綴っているわ。
 次は、もっと日常に寄り添ったことを書けるでしょう。
 何しろ、黄金週。
 行きたいところへ行くわ、蒼い血に惹かれる心は。

 she makes you laugh
 she brings you out in style
 she treats you well
 and makes you up real fine...


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 『YES』桜井李早:著/MARU書房

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 open / 18:00
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 前売 / \2000 (ご予約は月曜日を除き、18:00以降、直接、お店の方に電話でお問い合わせください)
 当日 / \2500
 場所 / MARU(東村山市野口町1-11-3 tel 042-395-4430)


 ..* Risa *¨







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