Archive for April 2009

30 April

ハレルヤ



 爽やかな空模様。だけど、ここのところ、何か肌寒い陽気。肌寒いというのは、始末が悪い・・・寒いなら寒い、そうであれば納得して着込むけれど、肌寒いというのは、肌が寒く感じるということで、では、世界は寒いのか、と言えば、そういうわけでもないような・・・つまり、曖昧さの条件が精神ではなく、肉体に向けられていることが煩わしいということ。
 ・・・ん・・・何だか、私こそ、わけの解らんこと言ってるかしら?


 そんな午前中、レナード・コーエンの「ハレルヤ」を聴いていた。

 
 


 この人は1934年のカナダ生まれ。そもそも詩人として'50年代を生き、『神話を生きる/Let Us Compare Mythologies』という処女作を発表した後、'60年代に小説『嘆きの壁/Beautiful Losers』を出版するが、'60年代後期からシンガーソングライターとして活動を始める。レナード・コーエンは、そういう意味で、ビート世代の作家であり(若い頃はドラッグ下にあった時期もあったか・・・)、その後、溺れることなく21世紀を生きる。今年で75歳になるコーエンは、私の父とほぼ同世代。上の映像は惹かれる・・・まるで俳優のようでもある。
 レナード・コーエンからは少し話しが逸れるが、カナダのアーティストというのは、独特の雰囲気がある。エレガントとアンニュイが混ざり合い、そこに仏国的な小粋さが一役かい、そこにケルティックorドルイド的な呪術的な伝統の匂いまでする人がいる。
 コーエンは禅思想に傾倒し、その後、臨済宗の和尚となったと先程wikiで調べたら記述してあったが、驚きである、ビートであった人が、まさに禅の世界に入り込んだ稀なケースのひとつかもしれない。
 ここで彼の曲「Hey, That's No Way To Goodbye」と、「Famous Blue Raincoat」についての彼自身の"覚え書き"を・・・


「この曲は使い古されたペン・ターミナルホテルのベッドの中で1966年に生まれる。窓を開けられない。部屋は熱過ぎる。私はブロンドの婦人と鋭い口論の最中である。曲を半分鉛筆で書く。ひたすらお互いにやり合う。私は間違った部屋に居る。私は間違った女といる」

「当時、私は上等なレインコートを持っていた。バーバリー製で1959年にロンドンで買った。エリザベスは、それを着ると私がクモのようだと感じた。だからおそらく彼女は私と一緒に、ギリシャに来なかったのだろう。ライニングを取ったら、もっと格好がよくなった。小さな皮ですり切れた袖を直したら、美しくなった。話しは簡単である。その頃の私は着こなし方を知っていた。70年代のはじめの頃、NYのマリアンヌの屋根裏部屋で盗まれた。終わりの頃は、あまり着なかった」

 ・・・「Famous Blue Raincoat」の調べは暗い。この暗さは、人間だったら、誰もが通り過ぎたことのある暗さを、リリックに表現している。ふつう、人は、一々自分の暗さを表現として浮き彫りにしないこともあるだろう・・・これはただ、暗い心をありのままに文字に書くことではない、その気分を理解してくれそうな誰かにあからさまに漏らすことでもないわ・・・あくまで、表現として噛み下し、美しい言葉や声として表すことを言っているのよ・・・。そしてそこには一種の高貴に似た光があって、その内訳は、実は日常の単なるもやもやであったり、諍いであったり、要するに、肌寒い人生の一時期であったりすることを、繊細に描く表現者の冷めた(醒めた)目が必要なの。

 若い頃のコーエンの声と比べると昨年の声はよい具合に枯れ、ダンディである。
 その歌は、人々を大きく包み込む・・・いいえ、包み込むなんていう言葉より、抱く、がいい。
 優しく包み込む、とか、抱く、という言い方に、私は別れを告げたくなる。
 だって、優しさも、嘆きも、怒りも、それら全ては、大きなものの中の部分よ・・・。

 私の著書『YES』は、今思えば、優し過ぎたかもしれないな。

 優しい・・・それは、とても嬉しい言葉だし、ありがたい言葉だし、豊かな言葉だけれど、"大きい"輪の中のひとつの状態なのかもしれなくてね。

 でも、まだまだ、"大きい"になるには、時間がかかりそう。
 
 肌寒い29日、晴れていても、バーバリーのコートなどに包まりたくなるような小さな妖精は、この黄金週を作業の日々にする必要がありそう。
 休日は、そう名付ければ、いつでも遣ってくる。
 が、作業の日は、夜も昼もなく、あたかも、「出物腫れ物ところ構わず」的に遣ってくる。
 が、ここは、熱過ぎはせず、私は間違った部屋にはいない。
 では、そこから何を作るか?
 野望はなし。
 インフルを作るような真似もしない・・・誰が、何のために、この麗しい世界を混乱させる必要があるかしら?!
 少なくとも、人を臆病にするようなものは、作らない。

 もっと老いることが私に可能ならば、"vagabond"に、"hobo"に・・・。


   *

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 『YES』桜井李早:著/MARU書房

 著書『YES』の通販のお知らせです。
 お値段は1500円+送料手数料200円です。
 御注文は、お名前、発送先、部数をお書き添えのうえこちらまで。

 御注文くださった方のプライバシーは、当然、厳守させていただきます。

   **

 そして、著書『YES』出版記念パーティー&ライヴのお知らせです。
 5月23日(土曜日)
 出演ミュージシャンは、青山陽一、sakana、桜井李早+桜井芳樹...(飛び入りゲストさんがあるかもしれません!)
 open / 18:00
 start / 19:00
 前売 / \2000 (ご予約は月曜日を除き、18:00以降、直接、お店の方に電話でお問い合わせください)
 当日 / \2500
 場所 / MARU(東村山市野口町1-11-3 tel 042-395-4430)


 hope you have a wonderful Golden week!


 PEACE & LOVE


 ..* Risa *¨






03:34:47 | mom | No comments | TrackBacks

28 April

Ground Control to dear Robin



 Ground Control to dear Robin,
 夜、冷たく燃えるような風が吹き荒れる空の下、私は両腕を広げて走った。
 透き通りながら、滲みながら。
 私は鳥のように走る十字架よ。
 星は煌めき、東京にしては珍しく、懐かしい空模様を創り出していたわ。
 でも、結局今日もあなたの処に私は飛んでいけなかった、だから・・・

 Ground Control to dear Robin,
 真夜中を駆けるジーンズ姿の私は、少年のようだった。
 私の纏めた髪は、髪留めからはみ出し、風の流れに乗ってか細く泳いだ、空中を。
 今、私の中には、あなたと同じ色の血が流れているわ、それは蒼い血よ。
 私の双眼鏡の目は、普段は茶色だけれど、今、灰色がかったブルー。
 あの星たちが、あんなに蒼白く、ダイアモンドのように見えるのだもの、今夜は。

 Ground Control to dear Robin,
 人々はリボンをつけて常套句ばかり言うわ。
 私はたった今、使い物にならなくなったガラスの瓶を捨てて来た。
 見事な音を立てて、そこにクラス分けされて落ちた瓶。
 割れもせず、ただ置き去りにされただけ。
 何も気づかずに。

 Ground Control to dear Robin,
 今頃は何処で誰と話し、何を食べているの?
 それとも、夕べのアトリエで、「spy, spy, mystic girl...」と歌いながら蒼い絵具を混ぜ合わせている?
 あなたは偉大なユートピアの夢のクリームと名乗り、私は憂鬱な深い地下の微光。
 cream & gleam・・・では、そろそろあなたの窓辺に現れる準備をしましょう。
 あなたの友だち、Corinnaより xxx


   ***


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 『YES』桜井李早:著/MARU書房

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 お値段は1500円+送料手数料200円です。
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 ..* Risa *¨





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25 April

"Going a-Maying"



 こんばんは、今宵はまず、お知らせをさせてくださいね。

 5月23日(土曜日)、著書『YES』の出版記念パーティー&ライヴを行うこととなりました。
 出演ミュージシャンは、青山陽一、sakana、桜井李早+桜井芳樹...(飛び入りゲストさんがあるかもしれません!)
 open / 18:00
 start / 19:00
 前売 / \2000 (ご予約は月曜日を除き、18:00以降、直接、お店の方に電話でお問い合わせください)
 当日 / \2500
 場所 / MARU(東村山市野口町1-11-3 tel 042-395-4430)

 このMARUというお店のオーナーは、実は私の編集者であられる三島悟氏なのです。
 そのような理由もあって、こちらで遣らせていただくことになったのですが、ここは、ライヴや写真展なども行う美味しいお店です。特にカレー! 吉祥寺の「まめ蔵」をご存知でいらした方ならおわかりかもしれませんが、あのようなお味(三島氏と「まめ蔵」のオーナーさんが昔からのお知り合いということもあり、MARUのカレーは「まめ蔵」譲りなのです)。

 お時間のある方は、是非、遊びにいらしてください。
 
 名付けて"Going a-Maying"なんていうタイトルにいたしました。
 "Maying"とは、五月祭のこと。西洋では新緑を愛で、夏の訪れを待つお祭りとして古くから行われてきた行事・・・音楽とお酒と共に、楽しいひと時を過ごせますように。


   *

 では、場面は変わって、"Going a-Maying"のタイトルのもと、妖精の戯言を・・・


 その朝、ロビンはコリンナに語りかけた。
「罪だよ、君。こんなに素晴らしい朝なのに、まだ君は眠っているなんて。冒涜だよ、コリンナ、世界中の女の子はウグイスよりもはやく起きて、サンザシの花を編むっていうのに」
 コリンナは、その時、森(forest)の中にいる夢をみていた。だって、乙女というものは、深い森を愛するのですもの。
「何て? 何て言ったの、ロビン?」
「起きるんだ、コリンナ、君は葉を纏った春のフローラになるんだよ、ほら、僕は君の知らない世界を描いた、君が眠っている間に、僕はたくさんの仕事をしたよ・・・」
 そう言いながらロビンは彼女に点描を見せた。
「あなたったら、いきなりな人ね。いつも、そうだわ、あなたって、皆に微笑んでいるくせに、私には・・・」
「そんなことはないさ、コリンナ。君はそれを知っているだろう? 僕は僕が君を呼ぶように、君が東の"white witch"と名乗り、僕が話しかければ"far east forest"から飛んできてくれることを知っている。だから僕は君に真っ先に会いに行く。可笑しなことだよね、どうして僕は、君のところに来てしまうんだろう? それはそもそも、ただの気紛れだったのに」
「あなたが誰にでも好かれるのは、すぐにわかったわ。八方美人という言葉があるけれど、あなたは、八方どころではなく、千人もの女の子に愛される。でも、そういうあなたが面白かった。千分の一に私が何故か成ったことは、嬉しいことだけれど。でもね、あなたが私を通りすがりにできなかった理由を、私、解るような気がするの」
「その先は言わないで、馬鹿馬鹿しいから僕がくり返そう。そうさ、君は兵士のシンボルのようだった。僕が心の底にそっと秘めていることを、君は見破ったらしい、だから、僕は君に心を許そうとしたのだろう・・・ふん、僕は、森にいるなんて、こっそり合図した・・・人はそんなこと、解らないだろう、でも、コリンナ、君にはその意味が解っているんだろうね」
「解らないフリなら、いくらでもできるわ」
「来てごらん、コリンナ。そして、見てごらん、コリンナ。あの街路を、ほら、素敵じゃないか・・・緑なす姿を、ここは、猟園のようだ! 僕は矢を放つべきだろうか? 教えてくれ、コリンナ」
「放ちなさい、そして、私を目がけてごらんなさい。きっと、その矢は私の心臓に命中するでしょう、ただし、それは、今なら。今だけ。これから先のことは、解らないわ」
 コリンナは、明け方の窓辺に立った。
 彼女はひと糸と纏わない姿で眠っていたはずだが、その時の彼女の躯には、緑色の葉が絡み、明け透けな朝陽の中で、僅かに映る桜色の肌だけが彼女が人間である証しとして少ない面積を際立たせていた。
「君はこの暮らしを変えたくないのかな?」ロビンが言った。
「それは、表向きの常套句(クリシェ)だわ」
「僕はだから、君に情熱を捧げられないのだろう」
「そんなことが、何かしら? 私はあなたの姿と形を見間違いはしない。あなたは、Robin good fellow・・・私にはそれで、十分、素敵だわ」
「それでは、僕は、君のために歌おう。"pastor song"を」
「いいえ、今は、歌わないで、私があの真っ白なサンザシの花を編み、木陰で微睡む午後、再びここに来て奏でてください。今の私はコリンナではないわ」
「今、君は、何者なの?」
「神の櫃から目覚めた、フローラ。お願い、今だけ、フローラを、放っておいて」
「罪深いコリンナ、冒涜をつづける君は、僕の精神には時々重過ぎる。だが、僕の蒼い影に寄り添う魔女は、僕と同じくらい気紛れでおおらかだ。そう、僕たちは、素朴な風習に跪き、享楽派な詩人として、世界にキッスしよう」
「ええ、ロビン、あなたが大好きよ。私たちはいつか、朝露の庭で会い、その僅かな明け方を過ぎたら、一度、お別れする。でも、どうしても、再びお会いする運命にあるのね」
「コリンナ、5月の花を摘め。何千もの乙女たちよりもはやく、僕のところに、来い」
「私は、遅れるわ」
「やはり、君は、罪深い。それでも、僕は、君を信じられるらしい」
「不思議ね」
「不可思議だ」

 北緯50度〜60度の土地に産まれ、英語とフランス語とケルティックを使い分け・・・ねえ、ロビン、私、死ぬまでの間にあなたとドラマが作れそうな予感がする。
 馬鹿と呼ばれるくらい理想主義的な詩を愛し、奢らず、人間が好きで、明け透けな反面、とても礼儀正しく、平和・・・それがあなたロビンと、コリンナである私の関係。


 LOVE & LIGHT


 週末の..* Risa *¨





03:57:37 | mom | 2 comments | TrackBacks

23 April

ムーンライダーズ / i am on...



 そう、コンサートは、客電を落とさず始まった。こちら側とあちら側に境界がないまま、バンドはズバリ、世界を広げた。そこに見る音楽家たちは、ひとりを除いて皆赤い色の入った衣装を身に着けている。赤をカードのハートに準えたとして・・・その赤の数が多いほど、ハートの数の大きさと思いたくなりそうな絵姿・・・6人は、還暦が近い。そして、"A(エース)"は真っ赤なギターを抱き、ど真ん中に立っていた。トランプのハートの世界にもぐり込もう、黒はジョーカーだ。この日の赤は、還暦をイメージした赤だが、私にはそれよりもpassionの赤と映る。passion、情熱だが、もうひとつの意味は受難・・・まさにそこに立つ音楽家の人生が見せる(魅せる)物語のごとく。

 ここは東京、渋谷の19時を過ぎたばかり、まだ宵の口だが、世界が変わる。私はWONDERLANDに連れて行かれようとしていた。
 少し経つとジェネシスの呪文のように、あの高い所から聴こえてくるような遥かな音が・・・それを運んでくるのは、ペガサスのような羽根を持った聖人か妖かしで、こちらの気分はグッとゴージャスになる。ロック・コンサートというものは、このように特殊なハートになりながら、日常の夜に潜むブラックホールへ堕ちていくような感覚になるものなの、と、ひとり、ほくそ笑んだ。・・・跳ねっ返りな自分に、今夜は久々になれそう・・・だって、相手がそう手招きしている。"talent"という言葉があるけれど、これをこの国では、一般に知れる芸能の人というような意味で使うが、その言葉の正しい解釈で私はムーンライダーズを感じた。"talent"とは、神から人間に託された才能、または天分のことを言う。だから"talent"とは、努力の成果がもたらした結果ではなく、持って産まれた質をさす。そういう"talent"の集まりが、この人たちなのだと実感した。
 昨年暮から毎月一曲ずつ配信されていたというメンバーの方それぞれの楽曲を楽しみながらも、ああ、きっと、これらの曲は、今後も少なからず変貌していくのだろうな、と直感した。そして白井良明さんの曲、これを聴きながら、また氏の演奏を拝見しながら、ジョー・ウォルシュを感じていた私だった(私はジョー・ウォルシュ、とっても好きなのだ!)・・・ミラクルでどこかセンチメンタルな香りがするのだけれど、男前を気取っていない、少年の心がパッと繰り広げられていくようなメロディ・・・ステキだった・・・。

 演奏は後半に向かうに連れ、グイグイ、グビグビと客席を引っ張っていく。これは私の心の移り変わりも手伝っているかと思うが、ステージからの音の印象が微妙に変わり、輪郭がはっきり視えてくる。博文さんのベースの音に胸ぐらを掴まれた気がしたが、氏がベースを弾く姿は何ともセクシーなのだから、仕方あるまい。華奢な男性がベースを弾いている姿にうっとりすることが多い私なのだが、その理由は、左腕(右利きの人の場合)の肘の角度と動きに独特なものがあるのよ・・・大きな躯の人には見る事のできない魅力、長いネックの上を移動する手も、どこかエロティックである・・・失礼・・・。そうして、ただひとりの黒装束、ジョーカー/夏秋君のドラムには胸を打たれた・・・彼のスティックの振りはあたかも天使のよう・・・。

 30数年の年月を、音楽で暮らすという曖昧な道のりをムーンライダーズはいつも人々を魅了しながら辿ってきた。私が10代、丁度ロックに目覚めた頃、この人たちはもう大人だったのだわ・・・確か慶一さんは私の叔母ミッジと同じ歳。彼女がロンドンに飛んで行った大阪万博も終わった時代、慶一さんは、この業界に飛び込まれたのでしょう・・・そんな時代に青春を謳歌した人たちの底力には、敵わないものがある、ビートルズが解散し、踵の高いギラギラしたブーツが流行る頃のロンドン・・・(因みに、私のLUV/David Bowieの'80年にリリースされた13枚目のアルバム『SCARY MONSTERS』のライナーをお書きになっているのは鈴木慶一さんだったはず・・・実は昨年、私は或る外国人の友・・・マリアンヌ・フェイスフルとの対話などしたギタリストでもあり過去東京にも遊びに来た経験のある私と同世代の粋な巴里っ子・・・と、このアルバムのことで面白いメッセージ交換などしたっけ・・・)。私の青春と10年ちょっとの時代の違いだが、なかなか追いつけない・・・あちらは全て手探りで冒険しただろう、しかし、少し遅れてきた我が世代は、全て手探りするほどの必要もなかったかもしれない。要するに、魔法を信じる術を、そしてその魔法を使う手段を本に書いていくような道のりをした世代と、魔法を信じることを許され、その魔法を使う手本を手に入れることがより可能な世代の異なりかもしれない・・・いや、こんな考え、古いか? 古いとおっしゃるなら、手探りで遣ってごらんなさい、大変なエネルギーを使いますわ、恐らく。その大変なエネルギーを音楽ですっ飛ばしながら大人になることは、チャーミングの極みだわ。我が世代も、かく在るべき時が訪れようとしている。
 ああ・・・大人って素敵・・・大人のWONDERLANDよ・・・こうなると、もはや、don't trustの境目など、永遠にまかせようではないかと感じてくる。
 
 yes・・・鈴木慶一さんは、私のWONDERLANDの大魔法使いなのだ!
 大魔法使いは、ゴージャスな杖を振り、今年1月の或る寒い晩遅く、私に魔法をかけた。目が渇き、私は自分の作業を日々くり返していた。それは、『YES』という本を発表するための作業で、そろそろ締切りが近づく時期のことだった。そこへ深夜届いたメッセージは、私の乾いた目に溢れんばかりの潤いを与え、その後の私の作業のための十分過ぎるくらいの潤滑油を流し込んだ。氏のメッセージは、明らかに魔法だった。Sir・・・yes, just i believe your magic・・・氏の言葉/呪文は極めてダンディであり、クールなもの・・・私は大きな樹木に抱かれたように勇敢になることができたの。
 その慶一さんの言葉/魔法の言葉は、そのまま私の著書に載ったわ・・・でね、氏の魔法を覗き込んでごらんになりたいなら、『YES』という本を開いてみる必要がございます。
 そうして私はその晩、こんなことを思った。
「あの人のように、生きてみたい!」

 様々なことを心に浮かべながら鑑賞した、4月21日のムーンライダーズのコンサートだった。
 終演後、やはりコンサートに遊びにいらしていたあがた森魚さん、知恵さんにお会いする。その後、ホールでの打ち上げは岡田さんの還暦の祝賀会としての和やかな時間が過ぎた。

 22時半が近い頃、"avec"あがたさん&映像ディレクターの竹藤佳世さんで、AXを後にする。この時刻、雨も激しく、3人で渋谷の地下に降りる。お寿司屋さんである。
 久しぶりにお会いしたあがたさんであったが、慶一さんが大魔法使いなら、この方は大錬金術師である。great you are・・・
 ・・・WONDERLANDは、どうやらAXを出ても続いているらしい。私という小さな妖精は、完全に雨の夜の虜、おかげで、この東京の地下では、少し饒舌に過ぎたかもしれない。
 竹藤女史は、傍らでカメラを回し始めた。あがた森魚氏という大錬金術師は、隙あらば映像の世界へ突入していくわ・・・私は凄く自由な気分になり、「このビール、何か盛ってあるのではなくて?」、なんてちょっと惑いながらも、目の前にいる永遠の青年の暮れない瞳に動かされていた。
 24時を回った頃、渋谷を後にした3人だった。シンデレラのようにね。
 そうして、あがたさんは、ご自身の冊子を作られているのだが、その冊子に、私の文章を掲載していただくことになった。
 となると、私ことちっぽけな妖精は、一瞬変貌して、不老不死の女盗賊に変貌する必要があるのだわ・・・。


 私は永遠と魔法を信じる者。

 living into deep eternity......

 now i am on...

 WONDERLANDには及ばずとも、私は私のwonderlandを、生き始めようとしている、今日この頃。

 sending my lotta LOVE to you...

 天井に、"YES"。

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 バラ色のゴーシュこと・・・..* Risa *¨・・・より






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20 April

朝になれ、はやく!



 今夜は眠れない、眠りたくない、はやく夜明けが訪れればいいのに。

 普段なら、眠るために、これを綴っていることもあるだろう。
 でも、今宵は違う。
 眠らないようにと、私と言う工場は、煙突から、残骸を吐き出す。
 酔っぱらって吐くのではない。
 目がどんなに乾いたって、気にしない、目なんて、神様にあげる。
 酔わないために、ポテトをこの時刻にガツガツ食べ、呑んでいる。
 深夜にポテトくらい食べたところで、どうせ私は、生憎、太りはしない・・・こんなこと、言うと、何処かから「世界中の女性を敵にまわすよ!」というような、小言をいただくかもしれないが、そんな事は平気だ。そんなことを気にして、女、遣ってられるか!

 我は人からの小さな針を刺されて、怖じ気づくこと、あらず。
 だが、我が心の裡に引っ掛かった針においては、どのような些細な針であれど、眠れぬ夜を過ごすに値する。

 大盛りご飯で、サーロインあたり、いただきたい夜。
 だが、独りでは、不味かろう。
 お味噌汁なんて、いらない。
 ただ、大きなお肉と、大盛りのライスで、満面の笑み。
 
 可笑しなものだが、これぞ人生の歓び、と感じる瞬間とは、人間が自然に飲み食いできる状態なのだろう。
 
 そうさ、免疫力が無いなんて言ってる私は、日頃、精神力を頼りに過ごしている。
 私は私の肉体をよく知っている。
 時々壊れるが、まあ、そこそこ耐えることが出来ると知っている・・・何しろ、死に損ないのように産まれたのだから、せいぜい大事にするわ、この肉体。

 ああ、少し、ほんの少しだけ、空が蒼ざめてきたわ・・・
 愛らしいウグイスも、啼き始めたのよ・・・
 この声を一緒に聴きましょう・・・

 ・・・仮にあの人が私だったら、こんな夜明けを、どう、過ごすかしら?
 i am closer to the golden dawn...
 でも、あの人は、ここより少し寒い部屋で・・・
 i am off to sleep...で、何もかも一切を、一日分のビニールに入れて、ベッドにもぐり込むのでしょう。

 でも、私は、そうでは、ないの!
 私は黙って眠れない・・・明日、私が仮に目覚めないケースを考えると、この夜を、沈黙で済ませるわけには、いかない。
 

 これが今宵のお休みの科白・・・


「あなた以外の全ては、真実では、ない」。


 そう、言い切って、後悔しない私が、今夜の私。
 どうして、こんな言葉を漏らしているのかしら?


 20日、今日は優れて頼もしいお天気ではなさそうね。
 それでも、愛すべき一日にしたい。
 後3時間後には、燃えないゴミを出す。
 その後、まったりする暇も、ありはしないこの日だろう。
 月曜は昔から、愛せよ、と唱える必要のある日。
 労働を慈しみ、糧に感謝し・・・私のようなゴーシュにとっては、血を入れ替えるような日。
 ほら、更に明るくなった。
 それが、黄金の朝でない今朝であることが、人生の酷なところ。


 ...i am closer to the dawn...
 今日は、"golden"は、抜き。

 but just a kiss...

 午前4時までの恐怖を払い落とせ!


 明らかに、眠りなど、欲っすることが不可能な、今。

 
 もう、朝だわ。


 幻としたくなるこのダイアリーだわ。




05:39:48 | mom | No comments | TrackBacks